これは何かといいますと、広げて座るものです。
折りたたみクッションとか座布団などと呼ばれる、釣り用の腰掛けですね。
原則として、胡座をかいて座るとき用のものです。
段差があった方が(高さがあった方が)、長い竿を操作しやすいのです。
また、肥満傾向の釣り人にとっては、脚が下がることで腹のつかえを解消するにも有効です。
10年ほど前、オーダーメードの色見本として製作したのですが、とんでもない匠のワザがふんだんに盛り込まれた逸品です。
見本ということで、同一面で多色のエナメル生地が使われていますが、溶着といって縫合じゃないんです。
溶かしてくっつけて、1枚の生地にして、それから縫製しているんですね。
実は写真に写っていない底面はシルバーであり、人工畳とのコラボレーションであることが、
ただのレインボーでは収まらない、「マルチカラー」志向をくすぐります。
本音を言えばもっともっと色数を増やしたかったのですが、職人さんが勘弁してくれということで、諦めた次第です。
本来であれば、ワンポイントの美学に反する意匠ですし、色味もイマイチ気に入っていなかったのですが、
「明らかな特注品」である
ことが、それを許してしまいましたね。
部屋の片隅で、他のモノと一緒に積み上げられていれば、
景色に溶け込んだ結果、はじめてワンポイントになっている
から、とも言えます。
現在は現役を退いていますが、オーダーメード希望者にはお見せしています。